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【イベント実施報告】「生きる力はどこから満ちてくるの?」ミンダナオ子ども図書館館長・松居友さんオンライン講演会(2021.2.27開催)のご報告

2月27日(土)13時~ フィリピンのミンダナオこども図書館館長の松居友さんにご登壇いただき、オンライン講演会を開催しました。

ミンダナオ子ども図書館についてはこちらから⇒ミンダナオ子ども図書館

開催のきっかけ


SDGsに関する活動をする中で、ミンダナオこども図書館を取り巻く環境と活動を知りました。身近な地域の方々と海外の状況について情報を有することは、私たち「和光市チームSDGs」の活動の一環としてとても大切だと思ったことがきっかけで今回の講演会を企画しました。


SDGsには未来を変えるための17個の目標がありますが、松居さんのお話を伺うと、松居さんの活動はこの目標の多岐にわたっていることに気づかされました。貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー、安全な水、働きがい、不平等、気候変動、陸の豊かさ、平和と公正、パートナーシップ、つかう責任・・・・ほぼすべてなのではないでしょうか?

色々と課題があるミンダナオの環境ですが、ミンダナオこども図書館で生活をする子どもたちの表情はとても明るく生き生きとしています。
今回は、彼らの生きる力は何であるか、どこから満ちてくるのか、そういったテーマでお話を伺うことにしました。

オンライン講演会 ミンダナオ子ども図書館について


ミンダナオ子ども図書館の周辺の状況を伺うと、周期的に戦闘が行われ、家や家族を失う子どもたちが大勢いるといいます。

松居さんが初めてミンダナオに訪れた約20年前の子どもたちは表情もなく、生きる力を感じなかったことに衝撃を受け、何とかこの子たちを救いたいという思い一筋でミンダナオ子ども図書館の活動が始まったそうです。

元々日本で絵本の編集者だった松居さんは、絵本には子どもたちを助ける力があると信じ、ミンダナオで貧困・紛争地域をまわり、読み聞かせの活動をしていました。
松居さんのミンダナオのご自宅を改装してミンダナオ子ども図書館を設立。拠点をつくり、活動の幅を広げていきました。奨学制度によって最貧困の子どもたちを大学まで進学できるようにしたり、虐待や貧困がひどい家庭やストリートチルドレンの子どもたちをミンダナオ子ども図書館で預かり、一緒に生活をしています。

宗教は、イスラム教やキリスト教また現地の宗教など様々ですが、お互いの考えや習慣を尊重しながら現在は約80人ほどの子どもたちと共同生活をしています。
子どもたちは、学びながら自分たちで生活の場の掃除をしたり、洗濯をしたり、食事の支度をしたりしています。

「自分たちのことは自分で・・・」それは遊びの中の一つなのです。子どもたちは、とてもよく遊びます。

遊びの中で認知能力が育まれていきます。子どもたちは下の子の面倒をよくみます。
ミンダナオ子ども図書館は子どもたちにとって、ミンダナオ子ども図書館は「安心できる場」なのです。

講演会は、ミンダナオの様子の映像を見ながら進んでいきました。

読み語りの様子や、素語りも行われていました。ミンダナオはお話の生きている社会なのです。
子どもたちは、親やおじいちゃん、おばあちゃんなどから何度も話してもらった話を覚えて、それを代々伝えていきます。

その話には、妖怪や化け物が出てきて、そういうものにどうやって戦って挑んでいくかを話の中から学んでいきます。
それが、子どもたちが困難にぶち当たった時に乗り越える力になっていくのです。

映像の中には、日本から送られてきた絵本が子どもたちにとても愛されて読まれている様子が映し出されていました。紛争地域などでは学校にもろくに行けない子供たち。
日本から送られてきた絵本が一人一人に配られると、初めて本に触れる子もいて、目を輝かせて手に取り、うれしい表情を浮かべていました。
また、絵本だけでなく、靴や洋服なども手に取りよろこぶ顔がとても印象的でした。

参加者の声


講演会中に設けた小グループの対話やアンケートからの参加者の声をご紹介します。

 

生きる力、幸せとは・・・

・たとえ親を失っても、この世の中を生きる中で、孤独でないことが生きる力につながる。
・幸せとは何か、とても響く内容でした。ミンダナオ子ども図書館は人を育て、未来につなぐ
・素晴らしい図書館だと感銘を受けた。ミンダナオ子ども図書館の子どもたちが輝いていく一方で日本の子どもたちの幸せや価値観、生き方などについて考えさせれ、日本の子どもたちにもこういった大切なものを知ってもらう機会があればいいと思った。
・生きる力は何なのか、幸福とは何なのか、普段考えないことを考えさせれる講演でした。
・紛争、貧困にあっても、なおたくましく生きる子供たちの姿は勇気を与えてくれる。子ども図書館にも行ってみたいと強く思った。

・生きていく力とは、孤独ではない助教の中でしか育まれないのだと思った。身近に自分のことを気にかけてくれる人がいると感じられるか否か。ミンダナオ子ども図書館の子どもたちは、だれかの表情が暗かったら、誰かがさりげなく声をかける。自分の利のために生きるのではなく、自分以外の何かだれかの幸せのために、自分の生きる意味をみつけることが大切だと思った。
・ミンダナオの子どもたちの言葉から日本の心の豊かさについて考えさせられた。
・話を伺う前は、こちら側が何ができるかを考えていたが、話を伺うと、子どもたちから元気をもらい、心が癒された。

 遊びについて 

・大人の干渉なしに遊ぶ経験が大事という松居さんの言葉に共感する。
・ゲーム機など介さずとも楽しそうに遊ぶミンダナオの子どもたちの様子を見ると、物にみたされるだけでは人は幸せにはならないと感じる。

コミュニティーについて

・社会全体として心にゆとりのあるつながりがあったらと思った。これから社会を作っていく側として、どういった選択肢を子どもに見せることができるヒントになった。
・コミュニティの在り方を考えさせられた。よりよい多様性を考えていきたいと思った。
・上から目線ではなく、友達だから困っていたら助ける。当たり前のことが当たり前にできる社会だと思った。

 平和について

・資源のせいで戦争がおこる。資源がなければよかった。
・小学校の屋根の上に空爆防止の番号が書かれている映像が現地の戦禍を物語っており、恐ろしくなった。
・現代日本において、空爆を恐れて生活をするなんて考えもしないことなので、ショックだった。
・松居さんが「戦争を絶対してはならない。平和であることが一番大事。平和な時、子どもたちの表情が明るくなる。」とおっしゃっていた。争わず、独り占めせず、分かち合いながら平和な世界の実現を願う。

講演会を終えて


映像から見られるミンダナオ子ども図書館の子どもたちの笑顔に元気をもらい、癒され、実際にミンダナオ子ども図書館に訪れてみたいという声が多く寄せられました。
講演会のお話を通じて、私たちの幸せについての価値観を今一度問いただされているように感じました。

そして、参加者の方々にコミュニティーのあり方を考えるきっかけになったようです。

今後も私たち和光市チームSDGsのメンバーは、私たちの活動を通じて集まった絵本や服などを送るなどしながら、ミンダナオ子ども図書館の子どもたちとつながっていきたいと思っています。

ミンダナオ子ども図書館の様子と寄付についての案内は、下記のミンダナオ子ども図書館ホームページより知ることが出来ます。

 

ミンダナオ子ども図書館だより

※今回、オンライン講演会を開催するにあたり、有料チケットをご購入いただいた売上は、ミンダナオ子ども図書館の活動につなげて頂くべく、オンライン講演会運営費を除く全額をミンダナオ子ども図書館の運営のために謝礼として寄付させていただきました。